腰を揺らす漆黒のグルーヴ!ハービー・ハンコックと『ヘッド・ハンターズ』の衝撃ファンク革命

みなさん、こんにちは!ジャズの歴史のドラマをダイナミックに追いかけるシリーズ、記念すべき第10回の主役は、1970年代のフュージョン界において最もファンキーで、最も売れた伝説のプロジェクト、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)と『ヘッド・ハンターズ(Head Hunters)』です!

前回(第9回)ご紹介したチック・コリアとRTFは、南国の爽やかな風や超絶技巧ロックをフュージョンに持ち込み、世界を魅了しました。

その一方で、同じく帝王マイルス・デイヴィスのバンドを卒業したもう一人の天才ピアニスト、ハービー・ハンコックは全く違うアプローチを考えていました。

「電気楽器を使ってお洒落にキメるのもいい。でも、俺はもっと黒人音楽の根っこにある、泥臭くて、重低音がウねるような『本物のファンク』をジャズと合体させたいんだ!」

当時、街の若者たちを狂わせていたスライ&ザ・ファミリー・ストーンなどのファンク・ミュージックに刺激を受けたハービー。彼は高級なインテリ・ジャズのスーツを脱ぎ捨て、宇宙的なシンセサイザーと超一級のファンク・グルーヴを引っ提げて、ジャズ界を揺るがす特大の爆弾を投下したのです!


目次

ここがヤバい!『ヘッド・ハンターズ』が起こした3つの大革命

ジャズの歴史を塗り替え、のちのヒップホップやクラブミュージックの教科書となったサウンド。その凄さを3つに凝縮して解説します。

① 「1拍目」に命をかける、ど真ん中のブラック・ファンク

それまでのフュージョンは、どこかジャズらしい難解なアドリブや複雑な展開が残っていました。 しかし、ヘッド・ハンターズの音楽は「徹底的にワンコードで、同じキラー・リズムを延々と繰り返す」という本物のファンクスタイル。ベースとドラムがハメる強烈なグルーヴの渦の中に、聴き手はただただ身体を揺らしてノックアウトされるしかありません。

② アナログ・シンセサイザーを「楽器」としてハックした先駆者

当時、まだ新しかった「ARPオデッセイ」などのアナログ・シンセサイザーを、ハービーはまるで自分の手足のように操りました。 宇宙人が喋っているような未知のピコピコ音や、地を這うような分厚いシンセベースの音をジャズに導入し、「未来のファンク・サウンド」を1人で作り上げてしまったのです。

③ ジャズ史上初!ゴールドディスクを獲得した空前のメガヒット

1973年に発売されたアルバム『Head Hunters』は、当時のビルボードのポップチャートでも上位に食い込む大ヒットを記録。 なんと、ジャズのアルバムとして史上初めて「ゴールドディスク(50万枚以上のセールス)」を獲得する快挙を成し遂げました。難解だったジャズが、完全に「若者がクラブで踊るための大衆音楽」へと進化した瞬間でした。


これを聴けば脳髄までウねる!ヘッド・ハンターズの絶対名盤

音が鳴った瞬間、部屋の中が70年代の怪しげなファンク・クラブに早変わりする、重低音の聖典をご紹介します。

① 全人類の腰を動かした、ジャズファンクの最高到達点

  • アルバム名: 『Head Hunters』(1973年)

アフリカの民族仮面のようなヘッドフォンを被った、あまりにも有名なジャケットの大大大名盤です。 なんといっても、1曲目の『Chameleon(カメレオン)』がすべてを物語っています。シンセサイザーによる「ブーン・ブ・ブ・ブーン♪」という超ファンキーなベースラインが始まった瞬間、あまりの格好良さに鳥肌が立ちます。 さらに4曲目には、第7回でご紹介したハービー自身のアコースティック時代の名曲『Cantaloupe Island』を、電気仕掛けのドロドロなファンクにセルフカバーした『Sly(スライ)』も収録。新旧のリンクとしても絶対に聴き逃せない至高の1枚です。


ハービーが繋いだ、ジャズと現代クラブミュージックの架け橋

今回は、1970年代にジャズとファンクの遺伝子を完全に融合させ、音楽シーンの歴史を書き換えた『ハービー・ハンコック&ヘッド・ハンターズ』をご紹介しました。

  • どんなスタイル?: 宇宙的なシンセサイザーと、ウねる重低音ブラック・ファンクの融合
  • ここが凄い: ジャズ史上初のゴールドディスクを獲得し、若者を躍らせた
  • 現代への影響: 1990年代以降のヒップホップやR&B、アシッド・ジャズのサンプリング源として愛され続けている

前回のチック・コリア(RTF)の「爽快感」と、今回のハービー・ハンコック(ヘッド・ハンターズ)の「泥臭いグルーヴ」。 この1970年代の2大巨頭を並べて聴き比べることこそ、フュージョンというジャンルの面白さを100%味わう最高の贅沢です!

さて、エレキ・マイルスの撒いた種から、チック、ハービーと続いてきた70年代フュージョン列伝。 次回は、この熱いエレクトリック・ブームを締めくくる最後の怪物バンドが登場します。

「ジャズの知性、ロックの爆音、そしてクラシックの緻密なオーケストレーションを融合させ、20世紀後半で最も完璧なアンサンブルを創り上げよう」

次回、フュージョン編のラストを飾る伝説のドリームチーム、『ウェザー・リポート(Weather Report)』の世界へお連れします。天才ベーシスト、ジャコ・パストリアスの衝撃もお楽しみに!

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