フュージョン界の絶対王者!『ウェザー・リポート』と天才ジャコ・パストリアスの衝撃

みなさん、こんにちは!ジャズの歴史のドラマをドラマチックに追いかけるシリーズ、第11回の主役は、1970年代フュージョン・ブームの頂点に君臨し、音楽の未来を10年進めたと言われる伝説の最強バンド、『ウェザー・リポート(Weather Report)』です!

エレクトリック・マイルスの遺伝子を受け継いだチック・コリア(RTF)やハービー・ハンコック(ヘッド・ハンターズ)が世界を踊らせる中、マイルスの元で数々の名曲を作曲してきた知性派、ジョー・ザヴィヌル(キーボード)ウェイン・ショーター(サックス)の2人が結成したのがこのバンドでした。

バンド名「お天気模様(ウェザー・リポート)」の通り、彼らが目指したのは、決まったルールに縛られず、天気のように刻一刻と変化する、全く新しいエレクトリック・サウンド。

そして1976年、ある一人の「革命児」が加入したことで、このバンドは世界で最も刺激的なモンスターグループへと変貌を遂げます。その軌跡を紐解いていきましょう!


目次

ここが凄い!『ウェザー・リポート』を王者にした3つの革命

ただのお洒落なフュージョンとは一線を画す、彼らが音楽史に残した偉大な功績です。

① 「全員が主役、全員が脇役」という究極のチームワーク

それまでのジャズは「誰か1人が目立つソロを吹き、他の人は伴奏をする」のが当たり前でした。 しかしザヴィヌルはこれを変え、「全員が同時に即興演奏(アドリブ)をしながら、全員で1つの美しい絵の具を塗っていく」という、クラシックの交響楽のような緻密で美しいアンサンブルを完成させました。

② 天才ジャコ・パストリアスによる「ベースの革命」

1976年、自ら「俺は世界最高のベースプレイヤーだ」と名乗る24歳の若者、ジャコ・パストリアスが加入します。 彼はベースのフレット(金属の区切り)を自分で引き抜き、まるで歌うように、時にはエレキギターのように激しくメロディを奏でる「フレットレス・ベース」という独自のスタイルを確立。彼のバキバキと唸る超絶プレイと超ポップなキャラクターは、バンドに爆発的なエネルギーをもたらしました。

③ シンセサイザーで「未来のオーケストラ」を創り出した

リーダーのジョー・ザヴィヌルは、当時シンセサイザーの要塞の中に立てこもり(演奏中に何台ものシンセを同時に操り)、まるで電子音で世界の民族楽器やオーケストラを再現するような、魔法のサウンドを創り出しました。この近未来的な音響が、世界中の音楽家たちを驚かせたのです。


これを聴かねばフュージョンは語れない!最高傑作アルバム

世界中で大ヒットを記録し、今なお音楽界のピラミッドの頂点に立つ、フュージョン史上最高の大名盤をご紹介します。

① 1970年代のすべての機材と才能が奇跡のブレンドを果たした聖典

  • アルバム名: 『Heavy Weather(ヘヴィ・ウェザー)』(1977年)

ジャズファンだけでなく、世界中のロック少年やポップスファンまでをも熱狂させた、フュージョン史上屈指の大ベストセラーです。 なんといっても1曲目に収録されている『Birdland(バードランド)』が超名曲!ザヴィヌルのハッピーなシンセサイザーのメロディと、ジャコが放つハーモニクス(弦を軽く触って出す高く美しい音)のイントロを聴くだけで、胸がワクワクするような高揚感に包まれます。 ウェイン・ショーターのソプラノサックスがどこまでも美しく響き渡る『A Remark You Made(追憶)』など、一拍の無駄もない完璧な名曲ばかりが並ぶ、初心者に最初におすすめしたい永遠の1枚です。


エレクトリック・ジャズが行き着いた、1つのユートピア

今回は、1970年代のエレクトリック・ブームを洗練された知性と爆発的なグルーヴで締めくくった絶対王者『ウェザー・リポート』をご紹介しました。

  • どんなスタイル?: シンセサイザーのオーケストラ、ショーターの知的なサックス、そしてジャコの革命的ベース
  • ここが凄い: ジャズ、ロック、クラシック、民族音楽を完璧なレベルで融合
  • 必聴の1枚: フュージョン界の金字塔アルバム『Heavy Weather』

マイルス・デイヴィスが1960年代末に蒔いた「電気楽器とロックの融合」という種は、チック・コリア、ハービー・ハンコック、そしてこのウェザー・リポートという3つの巨大な大輪の花を咲かせ、1970年代の音楽シーンを完全に支配しました。

音楽の可能性をすべて出し尽くし、爆発的なブームを巻き起こした70年代フュージョン。 しかし、時代が1980年代へと移り変わる頃、ジャズ界にはまたしても「新しい風(あるいは、強烈な揺り戻し)」が吹き始めます。

「電気楽器のハデなギミックや、ロックのビートはもう十分にやり尽くした。俺たちはもう一度、スーツをバシッと着こなして、あの40年代〜50年代のアコースティックな『4ビートのガチなジャズ』を現代のテクニックで蘇らせるんだ!」

次回、モダン・ジャズの伝統を20代の若さで完璧に復活させ、世界を驚かせた天才トランペッター、『ウィントン・マルサリスの登場と、新伝統主義(ネオ・トラディショナル)』へとお連れします。ジャズの歴史はどこまでも回る!お楽しみに!

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