これぞモダンジャズの黄金期!ハード・バップの魅力と熱すぎる名盤4選

みなさん、こんにちは!ジャズの歴史とジャンルをわかりやすく解説するシリーズ、第5回の主役は、私自身も心の底から愛してやまないモダンジャズの最高峰、『ハード・バップ(Hard Bop)』です!

前回ご紹介した「クール・ジャズ」は、白人ミュージシャンを中心に西海岸などで流行した、スマートで洗練された綺麗なお行儀の良い音楽でした。

しかし、ニューヨークの黒人ミュージシャンたちは黙っていませんでした。

「おいおい、綺麗にまとまっちまって、俺たちの根底にある『熱いブルースの魂』や『教会のゴスペルのノリ』を忘れてやしないか?」

そうして1950年代後半、ジャズのふるさとである黒人文化の熱いルーツを呼び戻し、そこに高度なアレンジを加えて大爆発させたのがこのジャンルです。私たちが「あぁ、ジャズってシブくて最高に格好いいな!」と感じる魅力のすべてが、この時代に詰まっています!


目次

ハード・バップってどんな音楽?3つのシブすぎる特徴

激しいビバップのテクニックを受け継ぎながら、より聴きやすく、より熱く進化したハード・バップ。その特徴を3つに凝縮して解説します。

① お腹の底から躍動する「ファンキーなノリ(グルーヴ)」

クール・ジャズの静けさとは真逆で、とにかくリズム隊(ベースとドラム)が太くて重い、極上のノリを刻みます。 黒人たちの宗教音楽である「ゴスペル」や、泥臭い「ブルース」のハッピーでちょっぴり哀愁のあるエッセンスがたっぷり混ざっているため、理屈抜きに体が揺れて、一度聴いたら病みつきになる中毒性があります。

② 2本の管楽器が織りなす「黄金のコンボ編成」

ハード・バップの王道スタイルといえば、トランペットとサックスという、音色の違う2本の管楽器をフロントに立てた5人編成(クインテット)です。 テーマ(最初のメロディ)を2人でピシッとハモって吹いたあと、それぞれの個性を100%爆発させた熱いソロ合戦へ突入する。この様式美が、最高にスリリングで格好いいんです。

③ 絶頂期を迎えた「名門レーベル」の存在

この時代、ミュージシャンたちの熱い演奏を最高の音質でレコードに刻み続けた伝説の録音レーベルがあります。それが「ブルーノート(Blue Note)」や「プレスティッジ(Prestige)」です。 彼らが残した、一音一音が耳元で弾けるような生々しい録音と、お洒落なジャケットデザインは、今でも世界中のジャズファンの宝物となっています。


これを聴かなきゃ始まらない!ハード・バップの絶対名盤4選

モダンジャズの黄金期を創り上げ、今なお世界中のスピーカーから鳴り響き続ける世紀の大名盤を4枚厳選しました。

① 世界を揺るがした、ファンキー・ジャズの最高峰

  • アーティスト名: アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ(Art Blakey & The Jazz Messengers)
  • アルバム名: 『Moanin’』

日本中、そして世界中に「ハード・バップ」の熱狂を巻き起こした、ジャズ史上屈指の超大名盤です。 地鳴りのようなドラムを叩くアート・ブレイキー率いる最強の若手バンド。1曲目の『Moanin’(モーニン)』の、ピアノが「パパン♪」と教会風に問いかけ、管楽器が「ウゥ〜♪」とブルース全開で応えるイントロは、全人類がハッピーになれる魔法のフレーズです。熱くて、シブくて、とことん格好いい王道がここにあります。

② 黄金の時代を切り開いた、帝王マイルスの記念碑

  • アーティスト名: マイルス・デイヴィス(Miles Davis)
  • アルバム名: 『Walkin’』

モダンジャズの帝王マイルス・デイヴィスが、それまでの忙しすぎたビバップから脱却し、黒人特有のコクのある渋みをジャズに持ち込んだ歴史的傑作です。 タイトル通り、夜の都会をポケットに手を突っ込んで気だるげに歩いている(Walkin’)かのような、大人の色気あふれる重厚なグルーヴがたまりません。「大人の夜のBGM」として、これ以上の選択肢はないと言いきれる最高の1枚です。

③ サックスの巨人が豪快に唄う、カリブの陽気な風

  • アーティスト名: ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)
  • アルバム名: 『Saxophone Colossus』

ジャズ界屈指の豪快なサックス奏者、ソニー・ロリンズがその名の通り「サックスの巨人(コロッサス)」として君臨した大名盤。 彼自身の母親の故郷であるカリブ海の陽気なリズムを取り入れた『St. Thomas(セント・トーマス)』や、切ない哀愁が胸に染みるバラードなど、ロリンズの太くて温かいサックスの音がこれでもかと歌い上げます。ドラムの達人マックス・ローチとの息をもつかせぬ掛け合いもスリル満点です。

④ 哀愁の塊!夜の街を疾走するトランペットの閃光

  • アーティスト名: リー・モーガン(Lee Morgan)
  • アルバム名: 『The Sidewinder』

ハード・バップの後半、さらにロックやファンクのリズム(8ビート)を融合させて大ヒットした「ジャズ・ロック」の金字塔です。 天才トランペッターのリー・モーガンが奏でる、ニヒルで、ちょっぴりワルでお洒落なメロディは、聴くだけで自分が映画の主人公になったような贅沢な錯覚を味わえます。ベースラインがとにかくファンキーで、現代のクラブミュージック好きの耳にも一発で刺さるお洒落な名盤です。


ジャズのいちばん熱い血潮は、すべてハード・バップにある!

今回は、モダンジャズが一番元気で、一番お洒落で、一番売れていた大黄金時代『ハード・バップ』をご紹介しました。

  • 時代背景: 1950年代後半、黒人文化の熱いルーツ(ブルース、ゴスペル)への原点回帰
  • スタイル: 2本の管楽器がフロントに立つ、ファンキーでソウルフルな5人編成
  • ここが最高: 難しい理屈は抜きにして、体が勝手に動き出す極上のグルーヴ感

一日の終わりに静かにお酒を片手に浸るのもよし、ドライブの相棒として音量を少し上げてドライブ感を味わうのもよし。あなたの日常にこれ以上ない「大人の格好良さ」をプラスしてくれる最高のジャンルです。

さて、このハード・バップによってジャズは100点満点の完成形を迎えましたが、あまりに完璧にスタイルが決まりすぎたため、1960年代に入ると、あの男がまた新しい「退屈」を感じ始めます。

そう、ジャズの帝王マイルス・デイヴィスです。 「コード進行に沿って、みんなが決まったハモりやアドリブをするのはもう飽きた。もっと自由な、新しいジャズをやろう」

次回は、ジャズの音楽理論をもう一段階上の宇宙へと引き上げた、知的な革命スタイル『モード・ジャズ(Modal Jazz)』について解説します。名曲『So What』が生まれた、あの静かで深い世界です。お楽しみに!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次