みなさん、こんにちは!ジャズの歴史のパズルを紐解くシリーズ。 前回は、ジャズを世界的な芸術に押し上げた神様ルイ・アームストロングをご紹介しましたが、今回はさらにその時計の針を巻き戻します。
「天才ルイ・アームストロングを育て、彼が一生『パパ・ジョー』と呼んで慕い続けた偉大な師匠がいた」
と言ったら、その正体が気になりませんか? その人こそ、1910年代〜20年代にかけて、初期ジャズ界の頂点に君臨したトランペット(コルネット)奏者、キング・オリヴァー(King Oliver、本名ジョー・オリヴァー)です!
モダンジャズのスタイリッシュさとはまた違う、100年前の「夜の酒場で鳴り響いていた、最高にゴキゲンで泥臭いジャズの原点」へ、一緒にタイムスリップしてみましょう!
ここが凄い!キング・オリヴァーが「キング」と呼ばれた3つの理由
彼がいなければ、ルイ・アームストロングという天才が世に出ることも、ジャズがこれほどファンキーな音楽になることもありませんでした。
① 楽器を「喋らせた」!魔術的なミュート奏法の先駆者
キング・オリヴァーの最大の武器は、トランペットの音色を自由自在に化けさせるテクニックでした。 楽器の先端に、お椀やカップ、ときには「トイレの詰まり直し(ラバーカップ)」をかざして音をこもらせたり、ワウワウと変形させたり……。彼の出す音は、まるで「楽器が本当に泣いたり笑ったり、人間のように喋っている」と言われ、当時の聴衆を熱狂させました。これが現代まで続くジャズの「ミュート奏法」の原点です。
② 天才ルイ・アームストロングを見出した「最高の師匠」
生まれ故郷のニューオリンズから、音楽の都シカゴへと進出して大成功を収めていたオリヴァーは、故郷にいた若きルイの才能を見抜き、自分のバンドに呼び寄せました。 ルイにトレードマークとなる「白いハンカチ」を持たせたのもオリヴァーだと言われています。ルイはのちに「パパ・ジョー(オリヴァーの愛称)がいなければ、今の僕はいなかった」と何度も語っています。
③ 伝説の「息ぴったりツイン・コルネット」
オリヴァーのバンドにルイが加入したことで、ジャズの歴史に残る最強のタッグが誕生しました。 楽譜なんてほとんどない時代です。キング・オリヴァーが即興で吹いたメロディに対して、若きルイが瞬時に完璧なハモリを重ねていく。この2人の「あうんの呼吸」によるツイン・コルネットは、シカゴ中のミュージシャンを震撼させました。
100年前の熱狂を体感する!キング・オリヴァーの絶対名盤
1920年代前半の録音なので、音質はパチパチと蓄音機のノイズが入るクラシックなものですが、そこに詰まったエネルギーは今聴いても本物です。
① すべてのジャズファンがひれ伏す、歴史的スタートライン
- 楽団名: キング・オリヴァーズ・クレオール・ジャズ・バンド(King Oliver’s Creole Jazz Band)
- 聴くべき一曲: 『Dippermouth Blues(ディッパーマウス・ブルース)』
1923年に録音された、初期ジャズの最高峰にして、最も重要なレコード群です。 若きルイ・アームストロングの演奏が世界で初めてカッティングされた(録音された)記念碑的な作品でもあります。 特に『Dippermouth Blues』でのキング・オリヴァーによる「ワウワウ」と唸るミュート・ソロは、当時のジャズメン全員がコピーしたと言われるほどのバイブル。曲の終盤でメンバーが放つ「Oh, Play that thing!(そいつを吹いてくれ!)」という掛け声とともに、当時のシカゴの熱気あふれるダンスホールの空気がそのままお部屋に広がります。
王様(オリヴァー)がいたから、神様(ルイ)が生まれた
今回は、ルイ・アームストロングの師匠であり、ジャズの夜明けをジャンボに彩った『キング・オリヴァー』をご紹介しました。
- どんな人?: 1920年代初頭、シカゴ・ジャズ界の頂点に立ったボス
- ここが凄い: 楽器を喋らせる「ミュート奏法」の発明家
- 最大の功績: 若き日のルイ・アームストロングを育て、世界に送り出した
1920年代後半以降、スウィング・ジャズの大流行や、弟子であるルイの大躍進の影で、オリヴァー自身は時代の波に飲まれ、不遇の晩年を過ごすことになります。しかし彼が残した「楽器で感情をむき出しに表現する」という遺伝子は、ルイを通じて、マイルスへ、そして現代のすべてのジャズメンへと受け継がれています。
前回のルイの記事から、今回のオリヴァーの記事へ。 この2つの記事を繋ぐことで、「師匠から弟子へのバトンリレー」という極上のドラマがあなたのブログに誕生します!
次回の予告: 番外編の「ジャズの源流ツアー」から、次回はいよいよ1970年代の嵐へ復帰します!電気楽器とロックのビートで世界をひっくり返した、『マイルス・デイヴィスとフュージョン・ジャズの夜明け(クロスオーバー)』をお届けします。
100年前のヴィンテージな音から、今度はプラグインされた爆音の世界へ。このギャップこそがジャズブログの醍醐味ですね。お楽しみに!

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