世界中を躍らせた『スウィングの王様』!ベニー・グッドマンの華麗なる革命

みなさん、こんにちは!ジャズの歴史のパズルを繋ぐシリーズ。 これまで1950〜60年代のモダン・ジャズや、1920年代のニューオリンズの源流をご紹介してきましたが、今回はその間を繋ぐ、ジャズ史上最も華やかで、最も売れた大黄金期「スウィング・ジャズ(Swing Jazz)」の立役者が登場します!

その人こそ、白い歯を見せた爽やかな笑顔と、神業のようなクラリネットの音色で世界を虜にした“スウィングの王様(King of Swing)”、ベニー・グッドマン(Benny Goodman)です!

テレビCMや映画、吹奏楽でもお馴染みの超名曲『Sing, Sing, Sing』の、あのトコトコ鳴り響く激しいドラムと、お祭り騒ぎのような管楽器のメロディ。誰もが一度は聴いたことがありますよね。

今回は、ジャズを「アメリカの国民的ポップス」にまで押し上げ、さらに音楽の歴史だけでなく“社会”まで変えてしまったベニー・グッドマンの凄さを3つのポイントで解説します!


目次

ここが凄い!ベニー・グッドマンがジャズ界の「レジェンド」である3つの理由

彼はただの人気バンドリーダーではありませんでした。ジャズの地位をガラリと変えた、3つの偉業があります。

① 「聴く音楽」ではなく「踊る音楽」として若者を熱狂させた

1930年代、アメリカは世界恐慌の暗い影の中にありました。そんな憂鬱を吹き飛ばしたのが、ベニー・グッドマンが率いるビッグバンド(大人数編成)のはじけるようなダンスミュージックでした。 ラジオを通じて全米の若者に飛び火した彼の音楽(スウィング)は、当時の若者たちがステップを踏んで踊り狂う、今でいう「ロックやEDM」のような熱狂的な大ブームを巻き起こしたのです。

② クラシックの殿堂「カーネギー・ホール」でジャズを演奏した最初の男

1938年、ベニー・グッドマンは歴史的な大事件を起こします。 当時、クラシック音楽専用の神聖な場所であり、黒人音楽であるジャズなんてハナから見下していた「カーネギー・ホール」で、初めてジャズのコンサートを敢行したのです。結果は大成功。地響きのような拍手とともに、ジャズが「不真面目なダンス音楽」から「アメリカが誇る一流の芸術」へと認められた、歴史の転換点となりました。

③ 人種の壁をぶち破った、勇気ある白人リーダー

当時はまだ、白人と黒人が同じステージに立つことすら許されない激しい人種差別の時代でした。 しかし白人であるベニー・グッドマンは、「音楽に肌の色は関係ない。最高に格好いい奴とやりたいだけだ」と、天才ピアニストのテディ・ウィルソン(黒人)や、ビブラフォン奏者のライオネル・ハンプトン(黒人)を自分のバンド(小編成のコンボ)に大抜擢しました。彼のこの勇気ある行動が、その後の音楽界の人種統合へ大きな一歩となったのです。


これを聴けば一瞬でゴキゲン!ベニー・グッドマンの絶対名盤

音が鳴った瞬間、部屋の中が1930年代の華やかなダンスホールに早変わりする、エネルギーに満ちあふれた名盤をご紹介します。

① 音楽の歴史がひっくり返った、奇跡の夜のドキュメント

  • アルバム名: 『The Famous 1938 Carnegie Hall Jazz Concert』
  • 絶対に聴くべき一曲: 『Sing, Sing, Sing(シング・シング・シング)』

先ほどご紹介した、1938年のカーネギー・ホール公演の模様をそのまま奇跡的にパッキングした、ジャズ史上屈指の大名盤です。 ハイライトはもちろん、12分間にも及ぶ『Sing, Sing, Sing』。ジーン・クルーパの原始的なドラムソロに始まり、ベニーのクラリネットがキレッキレに吠え、終盤のハリー・ジェイムスのトランペットへと怒涛の勢いで突き進む演奏は、今聴いても鳥肌モノです。演奏が終わった瞬間の、観客の地鳴りのような大歓声まで含めて、絶対に体験してほしい歴史的録音です。


スウィングから、モダン・ジャズの「未来」へ

今回は、1930年代のアメリカを熱狂の渦に巻き込んだ『ベニー・グッドマン』をご紹介しました。

  • どんな人?: 1930年代に「スウィング・ジャズ」の大ブームを作ったクラリネット奏者
  • ここが凄い: ジャズをカーネギー・ホールに引き上げ、人種の壁も壊したカルチャーヒーロー
  • 音楽の魅力: 理屈抜きに身体が動き出す、ハッピーで強烈なグルーヴ

このベニー・グッドマンらが作った「大人数でカチッと譜面通りに演奏し、大衆を踊らせる商業的なジャズ」が全米を支配したからこそ、これに退屈した40年代の若い天才たち(チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピー)が、 「お仕着せのビッグバンドはもう古い!俺たちは少人数(コンボ)で、誰も真似できない超絶アドリブをぶちかます芸術的なジャズをやるんだ!」 と立ち上がりました。それが、シリーズ初期にご紹介した「ビバップ」、そして「モダン・ジャズ」へと繋がっていくわけです。

歴史の線が綺麗に繋がりましたね!


次回の予告: リンクの仕込みもバッチリ完了したところで、次回はいよいよ、お待ちかねの1970年代へ突入!

電子楽器とロックのビートを融合させ、再びジャズを若者の音楽へと引き戻した帝王の爆音革命、『マイルス・デイヴィスとフュージョン・ジャズの夜明け(クロスオーバー)』をお届けします。お楽しみに!

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