みなさん、こんにちは!ジャズの歴史の深層へ潜るスペシャルツアー。 神様ルイ・アームストロング、その師匠キング・オリヴァーとご紹介してきましたが、今夜の最後に登場するのは、初期ジャズ界で最もキャラが濃く、最もハデで、最も賛否両論を巻き起こした男……
ジェリー・ロール・モートン(Jelly Roll Morton)です!
彼のトレードマークは、ニカッと笑った時にギラリと光る、ダイヤモンドを埋め込んだ金歯。 そして、彼が周りに言いふらし、自分の名刺にまで印刷していたキャッチコピーがこれでした。
「俺こそが、1902年にジャズを発明した男だ」
「おいおい、大きく出たな!」と思いますよね(笑)。実際、のちの歴史家やミュージシャンからは「嘘つきのビッグマウス」なんて言われることもありました。 しかし、彼の残した音楽を聴くと、誰もが黙らざるを得なくなります。なぜなら、彼は口が悪いだけではなく、「本当にジャズの基礎を作った、最初期の最高の天才」だったからです。
今回は、そんな愛すべき問題児モートンの真の凄さを紐解きます!
ここが凄い!モートンが「ジャズの最初の完成者」と呼ばれる3つの理由
ただのハッタリ男ではない、彼がジャズ史に刻んだ不滅の功績を3つにまとめました。
① ジャズを「楽譜」に書き起こし、芸術にした最初の作曲家
それまでの初期ジャズは、楽譜が読めないミュージシャンたちが耳コピーとノリだけで演奏する、いわば「ストリートの音楽」でした。 モートンはクラシックの素養もあったため、その混沌とした即興演奏を初めて「楽譜(アレンジ)」として完璧に整理し、バンド全体のアンサンブルとして構築しました。つまり、ジャズをちゃんとした「作品」として世に送り出した最初の頭脳なのです。
② ラグタイムに「即興の命」を吹き込んだ天才ピアノ
彼のピアノスタイルは、当時大流行していた「ラグタイム(カチッとしたテンポのピアノ音楽)」がベースにあります。 しかし、モートンはその硬いリズムを絶妙に崩し、弾けるようなスウィング感と、その場のひらめき(即興)をプラスしました。この「ラグタイムの崩し方」こそが、のちにジャズ・ピアノと呼ばれるものの土台になりました。
③ 音楽にエキゾチックな隠し味「スペインのティンジ」を加えた
モートンは生前、「ジャズには『スペインの色彩(Spanish Tinge=ティンジ)』がなきゃダメだ」と語っていました。 カリブ海に近いニューオリンズの空気を吸っていた彼は、ジャズの中にラテンやアフリカ系の妖艶なリズムをブレンドしたのです。このお洒落なミクスチャー感覚こそ、彼が「ジャズの発明者」と自負した最大の強みでした。
100年前のビンテージ・ジャズ!モートンの絶対名盤・名曲
パチパチというノイズの向こうから、ニューオリンズの妖しい夜の熱気がビシビシと伝わってくる名作です。
① これぞ初期ジャズの教科書!完璧にコントロールされたスウィング
- 楽団名: ジェリー・ロール・モートン&ヒズ・レッド・ホット・ペッパーズ(Jelly Roll Morton and His Red Hot Peppers)
- 聴くべき一曲: 『Black Bottom Stomp(ブラック・ボトム・ストンプ)』
1926年にシカゴで録音された、モートン率いる伝説のバンドの演奏です。 一見、みんなが自由にガチャガチャと演奏しているように聴こえますが、実はモートンの緻密なアレンジによって「誰が、どこで、どう目立つか」が1秒単位で計算し尽くされています。疾走感あふれるリズム、スリリングな管楽器の掛け合い、そしてモートンの軽快なピアノ。100年前の音楽とは思えないほど、完璧に洗練されたエンターテインメントがここにあります。
嘘つきか、天才か?答えは「両方」!
今回は、自らジャズの看板を背負い、ダイヤモンドの笑顔で駆け抜けた『ジェリー・ロール・モートン』をご紹介しました。
- 名言: 「俺がジャズを発明した」
- 本当の功績: ジャズを初めて「アレンジ(編曲)」し、楽譜として完成させた
- 音楽性: ラグタイムにスウィング感とラテンのリズムを融合させた先駆者
のちに彼が亡くなった際、ジャズ界の偉人デューク・エリントンは「モートンこそが、ニューオリンズのオリジネーター(源流)だった」と、その功績を称えました。
「俺が発明した」という言葉は、あながち100%の嘘ではなかったわけですね。そんな彼の自信満々なキャラクターを思い浮かべながら曲を聴くと、ジャズがもっと身近で、楽しいものに思えてきませんか?

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