みなさん、こんにちは!ジャズの歴史とジャンルを紐解く解説シリーズ、第2回の主役は『スウィング・ジャズ(Swing Jazz)』です!
「ジャズって、薄暗いバーで静かに聴く難しい音楽でしょ?」
そんなイメージを持っている方にこそ、ぜひ聴いてほしいのがこのジャンルです。時代は1930年代。当時、スウィング・ジャズはアメリカの若者たちがダンスホールで踊り明かすための、最高のエンターテインメントであり、最先端のポップス(大衆音楽)でした。
今回は、聴くだけで自然と体がスウィング(心地よく揺れる)してしまう、底抜けに明るくてダイナミックな世界へご案内します!
スウィング・ジャズってどんな音楽?
前回の「トラディショナル・ジャズ」は、ニューオーリンズの街角やパレードから生まれた、少人数でガヤガヤと楽しむ土臭い音楽でした。
そこから時代が進み、1930年代になると、ジャズはニューヨークなどの大都会を中心に、信じられないほどの進化を遂げます。
① 大人数で魅せる「ビッグバンド」のド迫力
スウィング・ジャズの1番の特徴は、15〜20人ほどが集まった「ビッグバンド」と呼ばれる大編成で演奏することです。 サックス、トランペット、トロンボーンの各セクションがズラリと並び、後ろでピアノ・ベース・ドラム・ギターのリズム隊がガッチリと支える。この大人数がいっせいに音を吹き出す瞬間のド迫力は、現代のロックバンドのライブにも負けないほどの衝撃があります。
② 計算された「お洒落なアレンジ」
前回のジャズは「全員がその場で同時にアドリブをする」という自由なスタイルでしたが、大人数でそれをやると大混乱してしまいますよね。 そこで、スウィング・ジャズでは「楽譜(アレンジ)」がとても重要になりました。キチッと計算された豪華なメロディを全員でピシッと合わせる格好良さと、その合間にスタープレイヤーが抜群のソロを披露する。この「規律と自由」のバランスが、都会の洗練された雰囲気を生み出しました。
これだけは知っておきたい!スウィング・ジャズ4大巨頭
スウィング時代を牽引した4人のスーパースター(バンドリーダー)たちのスタイルを、わかりやすく表にまとめました。それぞれ全く違った個性のハッピーなサウンドを持っています。
| リーダー名 | 代表曲 | サウンドの特徴 | こんな気分のときにおすすめ |
|---|---|---|---|
| ベニー・グッドマン (クラリネット) | 『シング・シング・シング』 | 熱気あふれる、弾けるような激しいリズム | 「とにかくテンションを爆上げしたいとき」 |
| グレン・ミラー (トロンボーン) | 『イン・ザ・ムード』 『茶色の小瓶』 | 甘くロマンチックで、どこまでも美しいメロディ | 「CMや映画で聴いたあの安心感を味わいたいとき」 |
| カウント・ベイシー (ピアノ) | 『ワン・オクロック・ジャンプ』 | 体が勝手に揺れる、極上の「ノリ(グルーヴ)」 | 「ドライブ中や、リラックスしてスウィングしたいとき」 |
| デューク・エリントン (ピアノ) | 『A列車で行こう』 | クラシックのように気品あふれる知的な響き | 「夜、お洒落でリッチな気分に浸りたいとき」 |
初心者におすすめのスウィング・ジャズ名盤4選
ビッグバンドの圧倒的な熱量と、お洒落なエッセンスがこれでもかと詰まった大名盤を4枚厳選しました!
① ジャズがクラシックの殿堂を揺るがした、歴史上最も熱いライブ
- アーティスト名: ベニー・グッドマン(Benny Goodman)
- アルバム名: 『The Famous Carnegie Hall Jazz Concert 1938』
当時、高級なクラシック専門のコンサートホールだった「カーネギー・ホール」に、ジャズバンドとして初めて乗り込み、超満員の観客を総立ちにさせた伝説のライブ録音です。 クライマックスの『Sing, Sing, Sing』では、激しいドラムソロに乗って管楽器が火を吹くような大熱演をくり広げます。聴き終わったときには、まるで自分がダンスホールの真ん中にいたかのような、心地よい汗をかける最高の1枚です。
② 誰もが一度は耳にしたことがある、永遠のベストセラー
- アーティスト名: グレン・ミラー(Glenn Miller)
- アルバム名: 『The Unforgettable Glenn Miller』など(ベスト盤)
ジャズを全く知らない人でも、1秒聴けば「あ、知ってる!」となる超有名曲がこれでもかと詰まった名盤です。 トロンボーンとサックスが織りなす、まるでチョコレートのように甘くて美しいメロディの重なりはグレン・ミラーの独壇場。お部屋のBGMとして流すだけで、いつもの空間がアメリカの古き良きゴールデンエイジ(黄金時代)へと早変わりします。
③ 地球上で一番スウィングする、極上の「黒いグルーヴ」
- アーティスト名: カウント・ベイシー(Count Basie)
- アルバム名: 『The Complete Atomic Basie』
ジャズマンたちが「世界で一番スウィングしているバンド」と口を揃えて絶賛するのが、このカウント・ベイシー楽団です。 ベイシーがポロンとピアノを1音弾くだけで、バンド全体がとてつもなく気持ちいいリズムの波に乗り始めます。音の引き算が完璧で、うるさくないのに信じられないほどスウィングする。大人の渋さと格好良さを凝縮した、中毒性の高い大名盤です。
④ 宇宙一エレガントなオーケストラが魅せる、美の極み
- アーティスト名: デューク・エリントン(Duke Ellington)
- アルバム名: 『Ellington at Newport 1956』
ジャズ界最大の作曲家であり、気品あふれる貴族のような佇まいから「デューク(公爵)」と呼ばれたエリントンの名盤です。 彼のバンドは、単なるダンスミュージックの枠を超えて、まるで一流の絵画を見ているかのような色彩豊かなサウンドを響かせます。このニューポート・ジャズ・フェスティバルでのライブは、バンドの存続の危機をひっくり返すほどの壮絶な大熱演となり、ジャズ史に残る伝説となっています。
体で感じるジャズの楽しさは、すべてここにある!
今回は、ジャズの黄金時代を創り上げた『スウィング・ジャズ』の魅力をご紹介しました。
- 時代背景: 1930年代、若者たちがダンスで熱狂したポップス
- 楽器の編成: 15〜20人の豪華な「ビッグバンド」
- ここが凄い: 綿密に計算された楽譜(アレンジ)と、ド迫力のアンサンブル
難しい理屈は抜きにして、まずはサブスクや動画サイトで『Sing, Sing, Sing』や『In the Mood』を大音量で鳴らしてみてください。1930年代のきらびやかなダンスホールの熱気が、あなたの心と体を最高にハッピーに揺らしてくれますよ!
次回は、スウィングの大人数でキチッとしたお行儀の良さに退屈した天才たちが、夜な夜な怪しげな地下のクラブに集まって始めた、スリリングな超絶技巧の世界『ビバップ(Bebop)』について解説します。ジャズが「踊る音楽」から「じっくり聴く芸術」へと変貌する、最大の転換点です。お楽しみに!

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